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裏側ヒュースケン

2006/09/09 Saturday

[]継続企業の前提の話

勉強した知識の忘却防止のために、ZAKZAKの揚げ足取りをしますよ。(全く面白くないので注意)

これが「危ない」40社リスト…監査法人が喚起

三洋電機三菱自動車工業、日立造船…。平成18年3月期・3月中間期決算で、企業の存亡にかかわるリスクを抱えている上場企業が、東京証券取引所で20社、ジャスダック証券取引所で20社の計40社に上ったことがわかった=別表。会社数は17年9月中間期・9月期から3社増えた。景気は緩やかに拡大しているが、経営者自身や監査法人が“危ない”と認める上場企業がいまだに多くある実態が浮き彫りになった。あなたの会社は大丈夫?

新しい会計制度によって、上場企業の経営者は自分の会社が1年以内に破綻(はたん)するリスクが極めて高いと判断したら、そのリスクと対応策を決算書に明記しなければならない。

また、経営をチェックする監査人も、監査先企業に破綻リスクが存在する場合、監査報告書の追加情報の欄に「注記」を記載し、投資家らに注意を促す。

注記が付いた企業はいわば、監査人からイエローカードを突きつけられた“要注意企業”という意味合いがある。

この制度をゴーイング・コンサーン(GC、継続企業の前提)といい、15年3月期から開示が義務づけられた。

えーっとですねえ。(思い出している)

閉じられる前に大雑把な結論だけ言っておくと、①この記事を書いた人は注記と追記と意見をごっちゃにしています。②監査人はイエローカードを突きつけることはできません。

まず、監査報告書に記載するのは「追記情報」ですね。意見表明と明確に区別をするため、見出しをつけて記載。注記は会社の財務諸表になされるものですわ。

(ここから監査論の話)会計士の監査はあくまで「経営者の作成した財務諸表が適正かどうか」をチェックするものであり、「会社が健全に運営されているかどうか」をチェックするものではありません。そのため、経営者と監査人との間には、財務諸表の作成責任と適正性意見の表明責任をそれぞれが受け持つ二重責任の原則が貫かれています。そうじゃないと自己監査になっちゃうからね。だから、財務諸表作成責任をもたない監査人が経営者に代わって新情報を提供することは予定されておらず、「財務諸表が適正であると判断したうえで、その判断に関して説明を付す必要がある事項および財務諸表の記載について強調する必要がある事項を監査報告書において情報として追記」することが認められるにすぎないのです。これが追記情報。記載できる項目は限定列挙で、継続企業の前提に関する追記は強制されている。重要だからね。

で、この記事だけでは監査人がどんな場合に追記をするものなのかが詳しく解説されていないので(まあしょうがないですが)、読んだ人は「ふーん、会計士は継続企業の前提が成立しているかどうかもチェックするんだな、イエローカードとか出しちゃってるんだな」とか思うんじゃないかなと。ちょっと違うんですよと。

そもそも、継続企業の前提について会社がどういう注記をするのか、そして監査人はそれについてどう評価・判断し、いかなる追記を行うのか*1を書かないことにはどうにも。と思うんですけど、そんなの記事にしても読まないですよねえ。注記は、適当な具体例で書くと「①売上がガクッと落ちています(継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況の存在)②なので、継続企業の前提に重要な疑義があります③来期にはその疑義を解消するようなすごい新製品を出す計画が進んでおります④財務諸表は継続企業を前提に作成されていて、疑義は反映していないよ」みたいな感じになるんじゃないかと。それに対して、追記は「①売上がガクッと落ちています(継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況の存在)②なので、継続企業の前提に重要な疑義があります③疑義を解消するようなすごい新製品を出す計画が注記されています④財務諸表は継続企業を前提に作成されていて、疑義は反映していないよ」となるはず。違いは③のみ。重要な疑義の存在は、それを解消する経営計画とともに経営者が自ら明かすものなのです。監査人はその注記がある旨を情報として追記。

なお、解消させる合理的な経営計画が提示されない場合は、監査人は「意見表明拒否」という対応をとります。不適正意見表明ではありません。この違いは(略)

要は、監査論は面白いよってことです。

*1:理論と実務が同じかどうかはわかりませんが。